2007 春: 2007年3月16日

早起きは三文の得

「午後になるほど天候が不安定になるので、出発は朝早いほうが良い」というドライバーさんのアドバイスもあり、午前8時にはコールドフットを出発。

午前4時までオーロラ観測をしていたので少し眠いです。自分で運転するわけではないので、眠くなったら寝ててよいのですが、周りの景色がそれを許してくれません。早起きは三文の得とは、よくいったものです。

プロの写真家でもあるドライバーのKさん曰く「日中の写真は普通の観光でも撮れる。プロは朝焼けや夕焼けの風景を狙う」のだとか。うーん、納得。

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30分ほど走ると、ガイドブック「The Dalton Highway」にもView Pointと記されていたSukakpak Mtn.が見えてきました。
この山は南側と北側では山容が一変するらしく、両方で車を停めて写真撮影。確かに南側から見ると「ツチノコ」、北から見ると3つのピークが重なって「M字」に見えます。うーん不思議。

その後も北上を続け、コールドフットから1時間30分ほどで「最北の木」に到着。この木がダルトンハイウェイ沿いにある「最北の木」らしいのですが、根元が心無い人に傷つけられていました。葉っぱも茶色に変色して枯れかかっています。「最北の木」に選ばれてしまったばかりに、ひどい目に遭わされてしまっているのが可愛そう...。

しかも数10メートル北側には小さめのスプルースが...。あちらが「最北の木」になるのも時間の問題かもしれません。

「最北の木」の傍には「最北のトイレ」も。ここでしばしのトイレ休憩。
前回のダルトンハイウェイではトイレがガマンできず、臨時停車してもらいましたが、今回はちゃんとトイレで用を足すことができて一安心。

ブルックス山脈越え

休憩を終えると車は急激な坂道を登り始めます。いよいよ峠越えが始まるというワクワク感。

が、坂を上り切ったところで車は停車。目の前には朝日に輝く広大な雪原が広がっています!
ドライバーさんを除く3人は初めて見る景色。一斉に「すごーい!きれーい!!」と思わず歓声をあげてしまいました。

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このドライブの中でも最も幻想的な風景のひとつでした。

Chandaler Shelfで雪原をバックに記念撮影をした後、10分ほど氷河谷を走るといよいよAtigun Passに差し掛かります。
ここは雪崩の名所らしく、パイプラインも雪崩の被害を受けないようにと地下に埋められているのだとか。ドライバーさんから「雪崩に巻き込まれたらおしまいです。何か言い残すことがあったら今のうちに...」とのこと。思わず「お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください......」と言ってしまいました。
いやホント、雪崩に巻き込まれたらおしまいです。山側はいつ雪崩がおきてもおかしくないくらいの積雪ですし、谷側は落ちたら命が無いくらいの絶壁。しかもガードレールは雪崩を受けて、そこかしこで湾曲しています。

雪崩れの危険地帯を抜け、10分ほどで峠の頂上に到着。雪崩に巻き込まれず一安心。と思っていたら、引き続き下りも雪崩の心配をしつつ、山肌の道を下っていきます。しばらくして路肩にパイプラインが顔を出しました。パイプラインが顔を出したということは、雪崩に巻き込まれる危険も無くなったということ。Atigun Passを無事通過です。

あとはひたすら北を目指して一直線。何の変化も無い白一色の世界が続くかと覚悟していたのですが、そんなことはありませんでした。
白一色の世界を蛇行するパイプラインとハイウェイ、太陽と雲と白銀の大地が織りなす白と黒と青のコントラスト、時折道端に顔を出してくる動物たち、新鮮で感動的な光景が続いて飽きることはありません。
人工物といえばハイウェイとパイプライン、所々に点在するポンプステーションなどパイプラインの関連施設くらい。デッドホースが近づくと、パイプラインも見えなくなり、道路はほとんど無く一直線。360度見回しても丘一つ無くて、人工的な建造物はハイウェイのみという場所があったり。

いやほんと、すごいところまで来ちゃいました。

プルドーベイで逮捕!?

コールドフットを出発して8時間ほどで北側に石油プラントの煙が見え始めました。デッドホース到着です。天候に悩まされること無く、予定より早い到着だとか。
海岸線は更に8マイル北にありますが、一般車両はデッドホースまでしか入れません。デッドホースも住居表示はプルドーベイになっていますし、まあプルドーベイ到着と言うことで...。

まずはホテルの場所を確認してチェックイン。パイプラインのオイル漏れ事故の影響もあって、今年は3月中旬になってもどこもホテルは満室。予約さえままならなかったような状況です。
それでも当日になれば空きがあるかも、という微かな期待はあっさりと裏切られ、たけなべはドライバーのKさんと同室、A&Pの新人ガイドさんたちはガイドブックにも載っていない、看板さえも出ていないモーテルに宿泊となりました。

今夜の宿泊先を確認した後はデッドホース市内観光。観光と言ってもデッドホース市内は空港と数件のホテル、石油プラント関連の施設があるだけ。
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観光の目玉となりそうな北極海、パイプラインの0マイル地点となるポンプステーションは、セキュリティゲートの向こうで、一般車は訪問できません。冬の時期は石油会社主催の観光ツアーも催行されていないので、次回以降(夏 or 秋)のお楽しみというところでしょうか。
ということで、東西2箇所のセキュリティゲート前まで行ってUターン。地平線の彼方に見える油井と思われる施設からは、モクモクと黒煙が上がり、その上にはスモッグ。街中には油井からポンプステーションへ石油を集めるためのパイプが網の目のように張り巡らされています。
う~ん、まさに地球環境破壊の最前線。

デッドホース市内は、ゆっくり一周しても30分ほど。市内観光を終えて街で唯一の売店に向かおうとしたとき、後ろに警察の車が突然現れて停まるように指示されました。
「何事?スピード違反でもないし...」と、いぶかしがっていると、警察官が降りてきて、ドライバーさんと何か話をしています。

どうやらセキュリティゲートの近くで写真を撮っていたため、「テロリストか!?」と疑われて通報されたようです。
ドライバーさんが事情を説明し、今日の宿泊先を伝えることで、無罪放免となりましたが、まさか自分が犯罪者と疑われるとは......。

Free Food & Free Drink

ガソリンスタンドで給油した後、プルドーベイで唯一のショップでお買い物。
ところが売店の中は工具だらけ。奥の方には郵便局はあったものの、冬季は朝と夕方しかオープンしておらず、夕方の営業は17時から。ギフトショップは無いの~?と探し回っていると、「2階だよ~」と工具屋の店員さん。階段を上がったら、ありました。念願のギフトショップが。気付かなかったら、そのまま帰っていたかも...。
ギフトショップには、プルドーベイ/デッドホースのロゴが入ったポストカードやステッカー、キーホルダー、マグカップ、Tシャツ、トレーナーといった定番のお土産のほか、現地のネイティブの人たちが作った民芸品(マスクやドリームキャッチャーなど)もいくつか並んでいます。
ただ、これらお土産品の占有面積はお店の3分の1程度。あとは作業服を中心とした工事関係者向けの衣類と備品類。ギフトショップもプルドーベイらしさが垣間見える品揃えです。
唯一のお店だというのに食べ物や飲み物は、ほとんど販売されていません。「肉体労働した後はお腹が空くだろうに。ホテルの食事で足りない人達はどうするんだろう...」と心配になってしまいます。

ただ、この疑問はホテルに戻って、夕食を食べに行くとすぐに解決。
ホテルに戻って食堂に行ってみると、持ち帰り用の容器も用意されていて、食事を終えた石油関係の方々は、容器一杯(多い人は二杯!)におかずを詰めて自分の部屋に帰っていきます。さらにデザートのショーケース(ケーキやパイは超甘!砂糖の塊みたい!!)と飲み物のベンディングマシンは24時間営業。
プルドーベイのホテルは、一晩中、食べ放題、飲み放題なんですね。

ちなみに、アルコール類は提供されていないどころか、ホテル内への持ち込みも禁止。あんな筋骨隆々の人達に悪酔いでもされたら...。アルコール類も飲み放題だと安心して眠れません。。。

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夕食後はすぐ仮眠を取り、夜のオーロラ観測に備えます。10時頃に目を覚ますと窓からオーロラの帯が見えました。
「今日も期待できそう。。」と思いつつ、あと2時間仮眠。。。

が、12時過ぎに防寒着をしっかりと着込んでホテルの前でオーロラ観測!と意気込んでドアを開けると一面の曇り空。雪(?)も少しちらついていて、オーロラの姿は微塵もありません。ホテル前の駐車場は街灯が煌々と照らされているうえ、この街で暗い場所に移動するのは危険な雰囲気が漂っていたので、そそくさと退散。。

あとから知りましたが、デッドホースは街中を警察官が24時間巡回しているそうでして、怪しい人物はすぐさま拘束されるそうです。下手をするとテロリストと間違われて拘束されるところでした。
はっきりいってこの街はオーロラ観測に向いていません。。

旅の記録

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