2006 秋: 2006年9月13日

デナリでのクライマックス

トクラットを越えて10分ほど走った頃でしょうか。バスが再びスピードを落とします。今度はどこに動物が?と思ってバスの外を見ると、目の前に3頭のグリズリー!

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気付いたときは50mくらい離れていたのですが、徐々に近づいてきて10mくらいの距離まで大接近!公園内を一年中ドライブしているドライバーさんさえも、プライベートのカメラを持ち出すほど。それでも周囲を気にすることなく、一心不乱にベリーを食べ続けます。
現地ガイドさんによると、クマが親子でいる場合、親グマは絶対に母親なのだそうです。お父さんは、自分の子供でも殺してしまうのだとか。

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バスは親子グマの周囲で30分近く停車していましたが、その間もクマたちは飽きることなく一心不乱にベリーや木の根を食べ続け、食べながらウンチをしたり...。人に飼いならされていない自然のクマの生活を、こんな間近にみることができ、とても感動的でした。

クマの親子の大渋滞を抜けるとバスは急峻な山道を進みます。その間もドライバーさんは、すれ違う車と情報交換。「Wolfを見なかったか?」と聞いている模様。残念ながらWolfを見たというドライバーは居なかったようですが、オオカミが見れるとなれば、更に公園の奥まで進んでくれそうな勢い...。
程なくしてバスは見晴らしの良い峠に停車。そこがマッキンリー眺望のベストポイントとして知られる。ストーニー・ヒルでした。

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バスを降りると眼前には圧倒的な威容を誇るマッキンリーが!!しかも今日は雲ひとつ無い青空!現地ガイドさんによると、今年は天候が不順で、ほとんどマッキンリーを見れなかったとか。
きっと、よほどの晴れ男か晴れ女がいらっしゃったのですね。感謝です。。。

ありのままの自然

ストーニー・ヒルからの帰り際、先ほどのクマの親子に再び出くわしました。
いつのまにか道路を横切ったらしく、またバスの進行方向右側(自分の座っている側)に顔を出してくれています。『地球の歩き方』には左側の座席がオススメと書いてありましたが、今日は右側のほうが「当たり」だったようです。

小熊たちは食べ疲れたのか、ゴロゴロと転がってみたり、ウトウトと寝付いてみたり。その横で母グマは一心不乱に地面を掘り返しています。どうやら野ネズミか地リスの巣があるらしく、母グマはそれを捕まえようとしているようです。
10分くらい経過したころでしょうか、「あっ、捕まえた!」という声が上がったとき画面に映し出されたのは小動物を捕らえた誇らしげな母グマを先頭にバスから離れていく親子の姿でした。

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トクラットの休憩所で休憩した後、スケジュールがかなり押していることもあって、帰りのバスはトイレ休憩も無く、結構スピードも出しています。強行軍の日程に加えて、朝早くからのバスの旅。ウトウトしながらの帰路となりました。
そんな中、ドライバーさんは目ざとく道端に顔を出した小動物を発見。急停車して車をバックさせます。目の前に見えてきたのはカンジキウサギ。しかしウサギの足は、あらぬ方向に曲がっています。そんな足を引きずりながら一生懸命に木陰に隠れようとしています。あの状態ではこの冬を越せないだろうに......。
一瞬の光景でカメラに収めることはできませんでしたが、健気に生きようとするウサギの姿と、ケガをした動物を保護することなく「ありのままの自然」を見せようとするデナリ公園のスピリッツが印象に残りました。

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バスはトクラットを出て2時間ほどで公園の入口まで戻ってきました。ここでデナリツアーのドライバーさんとはお別れです。うーん、名残惜しい...。
とても素敵なツアーでしたし、サービス満点のドライバーさんだったので、チップを少しはずみました。

フェアバンクスへ

お昼ごはんはマッキンリー・シャレー・リゾートのレストランでサラダとサンドイッチを頂きました。時間は午後3時半という昼+夜兼用の時間。
当初の予定ではこの後で昨晩のリバーキャビンに戻り、荷物をピックアップするというスケジュールだったのですが、デナリツアーの終了が遅れたことと、リバーキャビン手前の橋が工事中だったことがあり、A&Pのスタッフの方が先回りしてピックアップ済みとのこと。工事渋滞の中を往復してたりすれば、フェアバンクスに着くのが何時になるか判りませんから...。
そのおかげもあり、フェアバンクスに向けてデナリを出発したのは、午後4時30分ごろ。こういう心遣いがとてもうれしいです。

これからフェアバンクスまでの3時間、オーロラ観測に備えて仮眠を取ろうかと思っていたのですが、現地ガイドさんがマイクを握り、アラスカでの生活のお話を始めてしまいます。最初は「眠いのに~」と思ってましたが、これが結構面白くて興味津々。聞き入ってしまいました。特に3年越しで釣り上げたというサーモンフィッシングの話は面白かったです。
今回、サポートしてくださった現地ガイドさん。実は最初にアラスカを訪問したときもお会いしているのですが、そのときはアラスカに暮らしてますって感じがまったく無く、都会のニオイがしていました。それが今では完全に「アラスカンライフを満喫してますっ!」って感じ。こんなところからもアラスカの凄さを感じてしまいます。
今度は「サーモンフィッシング」も行ってみたいなー。

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フェアバンクスに向かう途中、買い物兼トイレ休憩でネナナのガソリンスタンドに停車。
ネナナを出発して3時間ほどでフェアバンクスの街へ到着。バスの左側にはアラスカ大学のキャンパス、右側には「Fred Meyer」。見たことのある風景に思わず「ただいまー」と言ってしまいそうです。
ホテル到着は午後7時。さすがに疲れました。

カメラに詳しいスタッフ?

ホテルに到着した後、インターネットに接続してメールをチェックしていると、もう時計は午後9時を回っています。急いでオーロラツアーの準備(といっても防寒用下着と厚手の靴下を履くだけですが...)をしてバスに向かうと、すでにほとんどの人が乗車済み。
朝早くから移動しっ放しだというのに、みなさん気合がみなぎってます。

いつものオーロラツアー通り、バスは45分ほどでクリアリーサミットに到着。ここで熊谷さんのロッジからの迎えのバンに乗り換えます。北の空には午後11時だというのに薄明が残り、薄っすらとですがオーロラも出始めています。迎えのバンに乗り込んだところ、たまたま助手席となり、思わぬ形で誠さんと再会。

「あっ、お久しぶりです。そういえば今日でしたね...」

ロッジには5分ほどで到着。玄関ではローガンとシータック、ロッジ内では亜希子さんのご両親に出迎えていただきました。

誠さんからロッジでの過ごし方に関する説明が終わって「さあ、いよいよオーロラ観測!」と外に出ようとしたところ、笑顔とともに目の前に差し出されるカメラ。「オーロラの撮り方教えてー」とオバサマのひとこと。そういえばバスの中で「ロッジではカメラに詳しいスタッフがおりますので...」と現地ガイドさんが行っていたようなと思い、心当たりの人物を探したのですが見当たらず。。。
熊谷さんご夫妻や、亜希子さんのご両親もお忙しそうでしたので、カメラを拝見することに。
マニュアルモードに設定して~、フラッシュはオフに設定~、絞りをできるだけ明るくして(よしよし、F2.8にできるよ)~、ISOはできるだけ高くして(おー、このカメラはISO1600まで行けるのか!)、シャッタースピードは(ISO1600なら)15秒くらいで良いかな~。
「これで撮ってみて、写らないようなら露出時間を長く、明るすぎたり手ぶれが気になるようなら露出時間をみじかくしてくださいね~。あと、三脚をお持ちで無いのでしたら、デッキの手すりにカメラを置いて撮ると手振れが抑えられますよ~」と送り出すと、目も前には次のカメラが......。

いつの間にか、自分の前には長蛇の列。カメラの詳しいスタッフって自分のコト!?と思いつつ、断りきれずに設定することに...。
途中からだんだんレベルも上がってきます。文字表示だけで設定内容を表現しているデジカメ、マニュアルモードが無く夜景モードしかないデジカメ、(さすがにダメでしたが)夜景モードさえも無いデジカメまで......。結局、10台くらい設定したでしょうか...。

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30分ぐらいして外にでてみると、デッキの手すりにカメラを置いてシャッターを切り続ける人、人、人。
「あっ、お兄さん!取れましたよ~、見て、見て!」という方もいれば、「うまく撮れないんですけど~」とか、「メモリが一杯になっちゃって~」とか、「電池切れちゃって入れ替えようと思うんだけど設定消えない?」とか。
そのたびにロッジの中に入って設定を確認したり、不要な写真の削除をお手伝いしたり...。

思わぬ形で、最近のデジカメに少し詳しくなれました。
けど、自分のカメラで写真を撮る暇がありません...。

旅の記録

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